社名の由来


「旋回」には、三つの由来があります。

  1. 山田盛太郎『日本資本主義分析』
  2. 真木悠介『気流の鳴る音』
  3. 組織変革のイメージ

以下で、それぞれについて説明します。

1. 山田盛太郎『日本資本主義分析』

1934年に『日本資本主義分析』という著作が出版されました。著者は、経済学者の山田盛太郎です。この研究は、日本の経済学の全体を大きく前進させたと言ってよいほど卓越していました。実際に、1960年代の初頭までは、『分析』が日本の経済学のスタンダードになっていたわけですから。

1934年というのは、思想統制の時代です。男子普通選挙制と同時に制定された治安維持法は、左翼勢力(共産主義)の根絶を目的としたものでした。あらゆる出版物に検閲が入るので、共産主義を意味したり連想させたりする言葉は、すべて機械的に伏字になります。たとえば「共産主義」は「××××」、「革命」は「××」というように、伏字にされた状態で出版されました。

山田盛太郎は、日本の「産業革命」のプロセスを論じようとしました。しかし、そうすると「産業革命」が「産業××」になってしまう。 “Industrial Revolution” を意味する新たな訳語を発明する必要があったわけです。

ここで発明されたのが、「生産旋回」という言葉でした。なるほど、シンプルな逐語訳です。 “Industrial” が「生産」となり、 “Revolution” が「旋回」となる。この発明によって、『日本資本主義分析』は検閲を通過することができました。

山田盛太郎の『日本資本主義分析』は、傑出した研究でした。そして、この研究を象徴するのが「生産旋回」という言葉です。学者としての覚悟と執念を、ここに見出すことができます。彼に敬意を表して、弊社は「旋回」と名乗ります。

2. 真木悠介『気流の鳴る音』

構想力の翼を広げて。

真木悠介の『気流の鳴る音』を紹介することは容易ではありません。なぜなら、この著作のほんとうの価値は、書いてある内容ではなく、読書体験そのものに由来するからです。文字通りの意味で、読めば世界が変わってしまう。

『気流の鳴る音』を読むとき、わたしたちは翼を広げて旋回します。もちろん、これは誰にでもできることではありません。浮遊することの恐怖を乗り越えて、翼を広げた者だけが、気流をつかまえることができます。もといた世界を眼下に眺めながら、聴こえてくるのは「ひゅうひゅう」という気流の鳴る音です。しかし、気流を乗りこなすことは、気流に身を任せることとは違います。ただ身を任せるだけならば、気流はわたしたちをどこかに連れ去ってしまう。もといた世界にふたたび足をおろすには、大空を旋回する必要があるのです。

しかし、もといた世界に戻ってきたとしても、わたしたちはその世界を過去と同じように見ることはできません。同じように生きることはできません。なぜなら、わたしたちは、すでに翼を獲得しているからです。

それは、構想力の翼です。わたしたちの生きる世界を相対化し、異なる世界のあり方を構想する力。既存の世界に楔を打ち込み、新しい世界をつくる力。世界は〈ある〉ものではなく〈つくる〉ものなのです。

3. 組織変革のイメージ

弊社は、組織変革を「旋回」のイメージで把握しています。個人単位(個人というのも複数の要素からなる組織として捉えることができます)でも、会社単位や地域単位や国民社会単位でも、組織変革は「旋回」のプロセスです。

誤解してほしくないのですが、弊社の考える組織変革は、一時的なプロセスではありません。組織が変わったからもう大丈夫、というようなものではないのです。組織変革は、永続的なプロセスとしてのみ意味を持ちます。変わりつづけること、自分で自分を変えつづけることを通して、組織体に生命が宿ります。

まるで地球が太陽の周りを公転するように、組織は運動します。運動の中心には、組織のミッション(理念や使命)があります。太陽の万有引力が地球に「向心力」をもたらすように、ミッションは組織に内発的なエネルギーをもたらし、それが公転運動を可能にします。向心力は慣性の垂直方向に働くため、組織はミッションに近づくことができません。しかし、それでよいのです。組織とミッションの距離が失われたならば、組織は運動を止めてしまいます。ミッションとの距離を自覚しながら、それでもミッションに向かって進みつづけることに、価値があるのです。ちなみに、公転と旋回はどちらも “Revolution” と訳すことができます。

組織変革は、永久運動であると同時に、上昇運動でもあります。タカやワシが上空で旋回しているとき、彼らは上昇気流をつかまえて徐々に高度を上げています。これと同じように、組織も旋回運動を通して上昇していくのです。組織の上昇は、人の成長を意味します。人の成長を伴わない組織変革はありえません。人が成長しつづけることこそ、永久運動かつ上昇運動としての「旋回」の本質なのです。

「旋回」に想いを込めて

初志貫徹。

弊社は、創業の想いを「旋回」という社名に込めました。『日本資本主義分析』を著した山田盛太郎への敬意、真木悠介の『気流の鳴る音』から受け取った構想力の翼、そして永久運動かつ上昇運動としての組織変革のイメージが、この社名に重層しています。

社名に恥じない会社でありたい。

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