私は、メガネが好きだ。
古典的なラウンド型(丸メガネ)の、レンズの小さなものが好きなのだが、そういったものは最近の量販店にはあまり置いていない。ボストン型やウェリントン型、横長フレームはたくさんあるのだが。丸メガネが老眼鏡を想起させるのかは分からないけれども、最近の若者にはウケないのだろう。
数日前、いつもの散歩道から外れたところを歩いていたら、個人経営の眼鏡屋さんを見つけた。大井町駅から徒歩5分、メガネサロンイッセイ。店内に入ってみると、丸メガネがたくさん。オーナーの武井さんの接客も素晴らしく、圧倒的な知識量と眼鏡愛をもって朗らかに説明してくれる。近所に、こんなお店があったのか。
そこで私は、とあるメガネに一目惚れしてしまった。
spec ēspace(スペックエスパス)「ES-2563」。
アンダーリムの丸メガネというだけで稀少価値が高いのに、さらにフレームとレンズが相対的に独立していて、他のメガネとは一線を画すデザイン。まるでレンズだけが宙に浮いているかのよう。それでいて奇抜すぎるということはなく、表情にスッと収まってくれる。知性と粋が絶妙なバランスで同居している。ヒンジレスフレームの形状美は圧倒的で、鯖江の職人さんの手作業で作られているとのこと。
ああ、素晴らしい。なんて美しいのだろう。
その場で「買った!」と言いたい気持ちを抑えて、その日は帰宅した。数日たってもこの気持ちが冷めなければ、そのときは諦めて買うしかない。
そして本日、ついに購入した。
久々に、心の踊る買い物ができた。
余談。
私は、3本のメガネを使い分けている。
一つはデスクワークのためのメガネ。これは視力0.5くらいしか見えない。車を運転するときには1.2見えるメガネをかける。そして、通常の外出時には、それらの中間程のメガネを使う。つまり、近距離用、中距離用、遠距離用の3本である。
メガネを使い分けるようになってから、デスクワークで格段に疲れにくくなった。運転しているときに視力が悪いのが致命的であるのと同じように、本を読むときに視力が良すぎるのも致命的だ。近くしか見ないのであれば、近くだけ見えればよい。毛様体筋と脳に、余計な負担をかけるべきではない。
デスクに向かっているとすぐ疲れてしまう人は、メガネやコンタクトレンズの度数が強すぎるのが原因のひとつかもしれないと思う。外部デバイスの問題を、精神論で解決できるはずがないのである。
2026/03/20
翌日の追記。
出来上がったメガネを受け取りに行った。
メガネサロンイッセイのオーナーの武井さんは、フィッティング技術も素晴らしかった。いくつものラジオペンチを使い分け、私の顔に合うようにフレームやパッドの形を調整していく。フィッティングが完了したメガネを見ると、左右差がある。これは私の顔の左右差を埋めるための調整なのだ。追求するのは全体最適であって、メガネ単体における部分最適ではない。顔とメガネを一体として把握すること。
私の彼女は、このメガネが気に入らないようだ。
仕事用のメガネだから問題ない。
ないけれども。
2026/03/21
さらに翌日の追記。
フレームの表面の塗装を剥がした。
中学校の技術の授業で、ジュラルミンやステンレスにサンドペーパーをかけたことはあったが、チタンは初めてだった。やはり金属の硬さがまるで違う。すぐにペーパーが目詰まりするので、なかなか大変だった。
黒色の塗装が剥がれて、金属光沢が出てくる。
なかなかいいじゃないか。
彼女にも好評である。
よかったよかった。
2026/03/22
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